子供の成長に必要な栄養と食事

こんにちは、管理栄養士の矢村千紘です。

今回は小学校高学年くらいの子供の成長に大きく関わる栄養についてです。

家庭での食事や、親の食への意識は、子供の成長を支えていく上で、大きな役割を果たします。

子供と大人の栄養に関する考え方

子供と大人の必要とするエネルギーや栄養素の考え方は、同じではありません。例えば、体重が25kgの子供は、体重50kgの大人の食事の1/2量を与えればいいわけではありませんよね。大人と違い、子供は新陳代謝が活発であり、さらに体を大きくしていくためにもエネルギーと栄養素を多く必要とします。また、常に走り回っていたり、授業で体育があったり、通学でたくさん歩いたり、と個々に差はあるものの大人よりも活動量が多いことは子供たちを見ていても感じます。

そして、小学校の高学年くらいになってくると、身長も体重も大幅に増加していき、もっとも身長が伸びる時期では１年で10センチ近くの成長が見られます。この成長スパートの立ち上がり時期は特に食事に気を配り、しっかりと成長をサポートしてあげることが必要です。日々の食事で意識したい事についてみていきましょう。

絶対に外せないキーワードは「エネルギー量」と「たんぱく質」です！

エネルギー不足に注意

子供は体重1kgあたりの必要エネルギー量は大人の約２倍です。エネルギーが足りていない状態で活動していると、体の筋肉を分解してエネルギーとして利用されてしまいます。また身長を伸ばすのにもとても重要で、エネルギーやたんぱく質が不足していると骨の成長に関わるホルモンの分泌が低下して、身長が伸びにくくなります。朝食を抜いてしまうと、夕食から昼食まで長い時間、エネルギーが補給できていない状態でエネルギー不足を起こし、午前中の集中力や活動量の低下を引き起こす原因になるだけでなく、成長の妨げにもなります。基本的なことですが、まずは朝食をとる習慣を身につけましょう。

理想の朝食は、例えば、

■ご飯、納豆、卵、野菜類の味噌汁、果物

■食パン、ハムエッグ、野菜のスープ、ヨーグルト

子供は大人と比べて脂質をエネルギーとして使う特徴がありますので、少食の場合は油脂を上手に活用すると良いでしょう。

朝食の習慣がない場合は、果物、ヨーグルト、おにぎり等、子供が食べやすいものから少しずつでも始めてみてください。また、学校帰りや習い事の前に、おにぎりやサンドイッチ、果物や蒸かし芋を活用してエネルギーを補給するのもお勧めです。こういったものには、ビタミン・ミネラルの供給源ともなります。子供にとっておやつは「栄養素を補う」と捉えると、用意するものも変わってきますね。

優秀なたんぱく質を！

成長期の子供は、体重1kgあたり大人の約1.5倍のたんぱく質量が必要です。たんぱく質が体で効率よく役割を果たすには、アミノ酸スコアが100に近くなるように食事を整えることです。以下のポイントを意識しましょう。

アミノ酸スコアが100に近い食材を選ぶ

卵、肉類（牛肉・鶏肉・豚肉）、魚はアミノ酸スコアが高く優秀な食材です。

複数の食材を組み合わせて欠けているアミノ酸を補う

米や小麦はアミノ酸スコアが低いため、そこを補うような大豆製品やヨーグルトなど複数の食材を組み合わせることで、全体のたんぱく質が優秀な食事となります。

理想の朝食で示したような食事は、たんぱく質の面からも理想的と言えますよ。

また、たんぱく質は1日のうちで分けて食べると効率よく体づくりができますので、一度にまとめてとらずに3食＋おやつで分散させて食べましょう。

まとめ

最も重要な栄養素について今回はお伝えしましたが、成長期に必要な栄養素は他にもたくさんあります。栄養素はチームで働くため、他の栄養素も一緒に摂れるように、さまざまな食材を組み合わせてバランス良く食べることは基本となります。そうは言っても、一度にたくさん食べられない子もいますし、毎食完璧な食事を用意することは負担になりますので、前述したようなおやつタイムを上手に活用しましょう。

また、「生活習慣を整えること」も摂取した栄養をしっかり消化吸収し、体で利用できるようにするためにとても大事な要素となりますので、見直してみてくださいね。

参考文献：

「日本人の食事摂取基準2020」第一出版

柴崎真木「食べて速くなる！スイマーの栄養と食事」ベースボール・マガジン社（2022.10.30）

細川モモ・宇野薫「成功する子は食べ物が９割」主婦の友社（2017.12.31）