食事から産後のいらいらを解消！おだやかなママに。

こんにちは、管理栄養士の矢村千紘です。

出産後、子供の可愛さに癒されながらも、育児に家事に仕事に・・・思い通りにいかないことも多く、産後のいらいらを訴える人は多くいます。

今回はそんな産後女性の抱えるお悩みについて食事面で取り組めることをお伝えします。

いらいらの原因は栄養不足？

出産後は、ホルモンや急激に変化する生活スタイルの影響が大きいと言われていますが、産後しばらくたっても、やはり子供中心の生活は予期せぬことや、思い通りにならないことも多いものです。さらに周りに頼る人がいない環境の人は、心の負担も大きくなります。

そして出産後に生理が再開すると、生理前にいらいらが強くなる、という声もよく聞きます。

いらいらを和らげるには、様々な面からのアプローチが必要ですが、食事からの栄養素が足りていないことも一つの要因かもしれません。現に、食生活を改善することで精神的に安定する人も多くいらっしゃいます。忙しい毎日で、食事にまで気が回らないと思う人もいらっしゃるでしょう。私も例外なく、子育てに毎日追われています。意識していないと、カロリーは摂れているけれども、実はその他の栄養素が摂れていないことも。いらいら解消の手助けとなる「たんぱく質」の摂取量は、30代女性で目標下限値をギリギリ満たせていないのが現状です。

トリプトファン、ビタミンB６が鍵

「セロトニン」というホルモンを聞いたことがあるでしょうか。これは「ハッピーホルモン」とも呼ばれ、心を安定させたり、精神を落ち着かせる役割があります。ホルモンの話で言うと、このセロトニンに加えて、達成感や満足感をもたらすドーパミン、集中力ややる気をもたらすノルアドレナリン、この3つのホルモンのバランスが取れていると、心が健康な状態でいられます。妊娠、出産などでホルモンの状態が急激に変わると精神が不安定になりますが、特に生理前１週間は心の安定をもたらす「セロトニン」の量が減ることが分かっています。

このセロトニンの材料となるのが、「トリプトファン」「ビタミンB6」です。たんぱく質を構成するアミノ酸の一種である「トリプトファン」が、体内で代謝され「セロトニン」となります。トリプトファンは必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成できないため、食事から取る必要があります。

また、トリプトファンからセロトニンになるには「太陽の光を浴びる」ことが必要です。朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。それだけでも気持ちよく気分も晴れやかになりますよね。

また、このセロトニンはさらに時間をかけて代謝され「メラトニン」となり快適な睡眠もサポートしてくれます。

1日を心穏やかに過ごして、夜ぐっすり眠るためにも、朝にしっかりたんぱく質を摂りましょう。朝ごはんに卵、肉、魚、大豆製品は摂れていますか？

また「ビタミンB6」もセロトニンを生成するのには必要です。これもお肉や魚、そしてバナナにも含まれています。朝食のデザートや、ちょっと物足りない時にバナナをつけるのも手軽で良いでしょう。

栄養素はチームで働きます。ホルモンの材料も一つの栄養素だけで完成するのではなく、いくつかの栄養素がくっついたり、代謝をサポートしたりして出来上がります。

以前のコラムでも取り上げた、マグネシウム、鉄もセロトニンの材料となります。精神の安定には鉄や葉酸も大きな役割を果たします。こういった栄養素を満たした上で、糖質を摂るとセロトニンの量が増えることも分かっています。

リズム運動も効果的です。体を動かすとセロトニンが分泌されますので、散歩や、家の中で子供と一緒にトランポリンやバランスボールで弾むのも楽しそうですね！

おだやかなママでいるポイントは、「たんぱく質、ビタミンB6」を意識しながら、バランスの良い朝ごはんを食べて、太陽の光を浴び、適度に運動をする！

肩肘張らず、リラックスして取り組んでみてくださいね。

参考文献：

細川モモ「生理で知っておくべきこと」日経B P

「臨床栄養ディクショナリー」MCメディカ出版

「八訂準拠ビジュアル食品成分表」大修館書店

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf