子供の好き嫌い、どうする?
管理栄養士からのコラム
こんにちは、管理栄養士の矢村千紘です。
お子さんの好き嫌いはありますか。子供の成長のために、毎日の食事を整えることはとても大切ですが、実際のところ、子供が嫌いな食材・料理は食べてくれないことも多々ありますよね。そんな場合の工夫や、考え方についてお伝えします。
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好き嫌いは時期によって変わる
幼児期の場合、食べられなかったものが、ある時期から食べられるようになったり、逆に食べられていたものを拒否するようになったり、好き嫌いのものが定まっていないことが多いです。
子供の時期に見られる「好き嫌い」は以下のような理由があります。
味覚が敏感である
幼児は大人に比べて、低濃度でも味を認知することが分かっています。そのため、大人では感じないような酸味や苦味にも敏感に反応し、嫌がることがあります。また、苦味のある物には毒性があることが多いため、特に乳児期には苦味を本能的に拒否するのです。
経験と知識不足
「新規性恐怖」といって、人間は初めての食べ物は本能的に警戒します。この経験不足がいわゆる「食わず嫌い」にも影響してきます。また、大人の場合は苦手な食材や初めての料理であっても、「栄養が取れるから」「健康のために」「この季節しか食べられない」など、食べるメリットの知識によって食事を楽しめます。子供にはそういった知識が少ないため、味や食感といった直接的な感覚が優先されるのです。
生理・心理状態
食事の時間帯に、眠さや疲れを感じていると、自分の状態をうまく表現できない子供のうちは食事の拒否につながることも珍しくありません。また、緊張感のある食卓も胃腸の動きが抑えられてしまうため、食が進まない原因となります。
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考え方と解決法
子供の「食べない」にも様々な原因があります。では対処についてみていきましょう。
「うまみ」を活用
初めての食材でも「うまみ」があると受け入れやすくなります。食材にはそれぞれうまみがありますが、特に肉や魚にはイノシン酸、野菜ではトマトやキノコ類にグルタミン酸という旨味成分がたっぷりと含まれています。初めての食材を使う際は、こういった旨味食材も使って煮込み料理や汁物にトライしてみましょう。鰹節でとったお出汁には脳が快楽を感じるとも言われています。毎日の出汁を変えてみるのも良いでしょう。今は市販でも無添加でパックや粉状になっているものもありますよ。
苦手な理由を振り返る
子供の味覚は敏感な上に、噛む力は未発達です。調理段階で食材の苦味成分やアクが残っていることが原因の一つかもしれません。ほうれん草などのアクの強い野菜は電子レンジ調理よりも、茹でたほうがアクは取り除けます。
また、大きさ・固さが合っていない場合もあるので、子供の様子をよく観察し、会話ができる年齢の場合は実際に「何が嫌に感じる?」と聞いてみるのも良いですね。
楽しく、根気強く
忙しさや子供の好き嫌いでイライラしてしまうこともありますが、ここは一旦ひと呼吸して心を落ち着けましょう。喜びそうな話題を振ったり、仲間と食卓を共にしたり、楽しくなる工夫を。家で食べないものを、給食では食べる事もよくある話です。給食で食べられているなら良しとするのも考え方の一つで、実際に私もそのように折り合いをつけています。また、味覚は変化するので、根気強く食卓に並べてあげましょう。
いつでもなんでもパクパクと食べてくれるのは理想ですが、その日の体調によっても食欲が変化するのは大人でもよくあることです。
子供の好き嫌い、食べムラは、本能的な行動や、自我の芽生えも関係してくるので、あまり神経質になりすぎず、おおらかな気持ちで捉えていきたいものです。実際は、「せっかく作ったのに」「子供の成長が心配」「食べ物が無駄になってしまう」などの問題も出てきます。色んな視点や対処法を知って試行錯誤しながら、子供も大人も負担になりすぎないように日々の食事に取り組んでいきましょう!
参考文献:
細川モモ・宇野薫「成功する子は食べ物が9割」主婦の友社(2017.12.31)
一般社団法人母子栄養協会「子供の好き嫌いはなぜ起こる?」https://boshieiyou.org/likes_dislikes/、(2023.3.15閲覧)
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